「男のきもの・織のきもの−大人の男のきもの談義

キーワード検索:
  タイトル一覧  | 最新10メッセージ

最初 |  前のメッセージ |  次のメッセージ |  最後

No.33 長根英樹   2000.01.18 21:34 
元の発言を表示返事を書く 


メールマガジン - No.0007 -2000.01.18 号
 1 冬の装い 〜 防寒の工夫(1) 
 

 ◆◇ 御召 ◆ 紬 ◇ 着尺 ◆ 羽織 ◇ 袴 ◆ 帯 ◇◆
 ――――――――――――――――――――――――――――――
       【男のきもの】製品・価格・着こなし紹介

        2000.01.18 No.0007  配信数:0302  
 ――――――――――――――――――――――――――――――
 ◆ ◇ ◆ きもの村 http:// www.kimono.gr.jp/ ◆ ◇ ◆


≪≪目次≫≫

 1 冬の装い 〜 防寒の工夫(1)
    ・肌着
    ・胴着(どうぎ)
    ・襦袢/スタンドカラーシャツ・タートルニット
    ・襲(かさね)
 2 その他

〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓

 1 冬の装い 〜 防寒の工夫(1)

 前号にて、「冬、防寒の装い」との次号テーマ案内をいたしました
 ところ、期待の声をいただき、意外と“きものスタイルの寒さ”に
 苦労されている方が多くいらっしゃり、着用のネックとなっている
 面もある様子を感じました。

 そこで今号、次号と分け、少し詳しくご案内することといたします。

 今号は、きもの(長着)のインナー、肌着、下着等の工夫をメイン
 とし、アウターのコート等については次号にてご案内いたします。

               *

 「きものは、夏に涼しく、冬に温かい」との話を伺います。

 夏に涼しいのは、絽(ろ)や紗(しゃ)等の透ける素材もさること
 ながら、胸元、袖口から風が入り、通り抜け、風通しが良いという
 デザインの特徴による面も大きな理由として上げられます。

 しかし、この風通しの良いデザインは、冬のスースーとした寒さに
 も直結しますので、上記の「冬に温かい」という言葉は、裏地付き
 の袷(あわせ)仕立てや襲(かさね)等の重ね着による、空気層の
 重なりによる保温効果という面を言うだけでなく、開いて風通しの
 良いところは閉めるというインナーの工夫を前提とした言葉である
 と思います。

 この冬の寒さに応じたインナーの工夫をしないまま、夏と同じ様な
 感覚でただ袷のきものを着るというだけでは、「きものは冬に寒い」
 ということになってしまうと思います。

 もっとも、南北に長い日本。
 寒さ対策としてインナーの工夫をあれこれ考えるのは、私が米沢に
 住み、必要に迫られている面もあってのこと。

 以下に、インナー、肌着や下着等の工夫についてご案内いたします。

               ◇

 「肌着」
 肌着としては、晒し木綿の肌襦袢が基本として一般に薦められます
 が、U首のシャツでも襟元から見えませんので、外見を損なうこと
 なくお召し頂けると思います。

 半袖や7分袖のタイプでも袖口がフィットし風が入らない分、大分
 温かくなることと思います。
 家庭着やご近所着としては、長袖のU首シャツを着て、必要に応じ
 て袖まくりするというだけでも手軽な防寒対策になると思います。

 肌襦袢タイプにこだわりたいという方は、ネルの様に温かい厚手の
 素材を用いたり、袖を長くして緩やかなゴムで閉じたり、なるべく
 肌をかくし、風の通るすき間を閉じる工夫をすれば大分温かく装う
 ことが出来ると思います。

 冬用の肌襦袢をあまり見かけないのですが、既製品で温か素材や、
 袖の工夫をしたものがあるといいですね。
 (お心当たりをお持ちの方は、教えていただきたく。)

 きもの用として特化したものではありませんが、浅草のお祭りなど
 で着られる「ダボシャツ」には、ネル素材で表に絹を張った滑りの
 良いタイプもありますので、こういったものを活用するのもお薦め
 の方法です。
 このタイプでは、同様にネル素材絹張りの「ステテコ」もあります
 ので、木綿ステテコの上から「オーバーステテコ」といった感覚で
 穿いたりして、上半身だけでなく、下半身の肌着の工夫として活用
 できると思います。

 下半身の肌着としては、ズボン下や厚手のステテコ、タイツなど、
 やはり肌の露出を抑えて、風の侵入を防ぐことで温かく装うことが
 出来ると思います。

 白やラクダ色のズボン下に抵抗がある場合でも、「ポールスミス」
 や「カルバンクライン」等からグレイや黒などタイツタイプの肌着
 が出ていますので、こういったものを活用し、お洒落に温かく装う
 ことは出来ると思います。

 浅草アイテムとしては、他に「股引き」等もあります。

               ◇

 「胴着(どうぎ)」
 今はあまり紹介されることが多くないと思いますが、肌着と襦袢の
 間に着るもので、かつては、「冬に温かい」というきものの装いに
 おけるキーアイテムであったと思います。

 腰までの丈のものや襦袢と同様の丈のもの。
 袷のもの、綿入れのもの。
 絹のもの、モスリン(ウール)のもの、木綿のもの。
 筒袖のもの、船底袖のもの、袖無しのもの。
 様々なタイプがありますが、夏に比べ多く重ね着をすることで空気
 の保温層を作り、同時に衿や袖からの風の侵入を防ぐ役割を持って
 いたと思います。

 地域の気候や本人の寒がり度などに応じて、様々なものが作られて
 いたのだと思います。

 現代では、襦袢の下に着る、洗濯機洗いが出来るものとして、晒し
 木綿や、ネルなどの身頃素材で、袖は襦袢下から見えてもよい様な
 色柄もので筒袖タイプのものがあると、大分便利で温かく装えると
 思います。

 袖は、袖口にゴムを入れるタイプもありましょうが、肘下の辺りに
 緩やかなゴムを入れ、袖口は開けるといったタイプでも防寒効果は
 得られると思います。

 U首のシャツ&タイツに胴着を重ねその上から襦袢を着れば、大分
 温かく冬のきものを楽しめることと思います。


 胴着の簡易的な代用としては、半襦袢を用いる方法をお薦めします。
 肌着の上に半襦袢を着て、その上に長襦袢、長着を着る方法です。

 衿、胸元からの風の侵入には、胴着(半襦袢)、襦袢、長着と衿を
 重ねるだけでも大分効果があり、しかも衿の重なりによるコーディ
 ネイトの楽しみや重厚感を味わうことが出来ます。
 胴着(半襦袢)、襦袢の半襟は、それぞれ色違いを用い、組み合わ
 せて楽しむ他に、同色を用いるという控え目ながら洗練された演出
 も味があると思います。

 同時に、襦袢(の衿など)を直接肌に付けない様にして汚れを防ぐ
 と共に、半襦袢は洗濯機で洗うという手入れの簡易さのメリットも
 あります。
 絹やモスリン等の襦袢の場合、半襟は付け替えるとしても、本体を
 頻繁に洗うのは容易ではありませんので、洗濯機洗いが可能なもの
 を下に身に付けて、衿も含めて汚れを防ぐということは、着た後の
 手入れを気にして着用をためらうという場合にも、効果的な解決の
 アプローチになると思います。

 襟元の工夫という意味では、スカーフやストールをインナーとして
 用い、衿の中にあしらう方法もあります。
 これは衿元の印象が大分変わりますので、モダンなスタイルに抵抗
 がない場合にお薦めです。

 半襦袢を胴着の代用として専用にする際には、袖を筒袖や船底袖に
 変えて、袖口の風の侵入を抑えれば、簡易で温かい便利アイテムに
 なることと思います。

               ◇

 「襦袢」「スタンドカラーシャツ」「タートルニット」
 襦袢を、秋口用のものと、真冬用のものとそれぞれに用意して使い
 分けている方は、あまり多くないかも知れません。

 今の秋冬襦袢は、身頃部分に裏地を付けない単衣仕立てで、袖部分
 だけ袷になっているタイプが一般的と思います。
 秋口から用いられる着用範囲の広さ、暖房施設の整った建築環境を
 考えると、理に適った提案、選択になると思います。

 一方、こうした襦袢を既にお持ちの方で、防寒に重きを置いた襦袢
 を作りたいという場合には、寒さ対策の工夫があり得ます。

 一つは袷仕立て。
 身頃にも裏地を付けた袷仕立てとすることで、大分しっかりとした
 着心地、温かさが実感できます。

 もう一つは素材。
 防寒用のお薦め素材としてモスリン(ウール)があります。
 単衣仕立ての既製品もありますし、お気に入りを反で求め、自分の
 サイズで袷仕立てにすれば、真冬のあったか襦袢として大活躍する
 ことと思います。


 襦袢代わりに、襟元、袖口の詰まったものを用いるという意味では、
 書生スタイルに見られるスタンドカラーのシャツや、モダンなコー
 ディネイトになりますが、薄手のタートルニット等を着用する方法
 もあります。
 もっとラフな装いでは、丸首のカットソー等を合わせる方も見受け
 ます。

 スタンドカラーシャツの場合は、防寒の他に、きものの襟元の汚れ
 防止という意味では、襟腰の高いタイプをお薦めします。
 既製品ではなかなか見かけませんが、後ろ襟部分の高さが5cm程
 あれば、長着の汚れが大分防げると思います。
 前襟部分の高さは、低くスッキリさせても、高くして雰囲気を持た
 せても、お好みで。
 私は、市販で気に入ったものが見つけられずに、オーダーにて数枚
 用意しています。

 タートルニットの場合は、ウールのものでも、海島綿(シーアイラ
 ンドコットン)のものでも、薄手のものがスマートに見えると思い
 ます。
 この場合は、アクセントとしてストールを伊達襟風にあしらっても
 長着との間で適度な繋がりが生まれ、しっくり馴染む様に感じます。

               ◇

 「襲(かさね)」
 襲は、襦袢の上に2枚(あるいはそれ以上)きものを重ねる着方で、
 防寒の意味合いの他に、重ねる素材、色柄によりあらたまった装い
 の意味合いを持つこともあります。
 女性の十二単は、この襲スタイルの極致といえると思います。

 防寒の工夫、加えてコーディネイト、お洒落の楽しみという意味で、
 今も活用したい装いだと思います。
 
 襲の時、長着の下に着るきものを「下着(したぎ)」といいます。
 白や薄鼠などの無地の下着はあらたまった印象となりますが、濃色
 や柄ものの下着は、お洒落着、防寒の装いとして、フォーマル以外
 の面でも違和感なくお召しいただけると思います。

 下着専用に仕立てるとなると、袖や丈、幅などを少し詰めた寸法と
 なりますが、通常の単衣の長着や袷の長着を用い、着方で調整する
 といった方法でも気軽に楽しむことは出来ると思います。

 また専用に仕立てる際には、軽く滑りのよい様に、「胴抜き仕立て」
 という形で、襟や袖、衽(おくみ)等の見える部分のみに表地を用
 い、他は胴裏などの素材を用いる工夫もあります。

               ◇

 今号では、きもの(長着)の下の装い、インナーの工夫ということ
 でご案内いたしました。

 読者の皆さんも、様々な工夫で冬のきものを楽しんでいらっしゃる
 ことと思います。
 オリジナルの工夫やヒントについて、メールや掲示板などでお寄せ
 いただければ幸いに存じます。

 バックナンバー&交流掲示板は、ホームページにて。

 「きもの村」ホームページ 男のきもの・織のきもの
  ・大人の男のきもの談義
  http:// www.kimono.gr.jp/ home/ salon.html


〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓

 2 その他
 
 1月のオークション。
 日付に連動して価格の下がる「オートマティカリーマークダウン」
 「プライスダウンオークション」の方式でご提案しています。

 今回は、1月20日(木)が最終日。
 この日には、スタート価格から大分下がり、お求め安くなりますの
 で、ご注目いただきたくご案内いたします。


 次号では、「冬の装い 〜 防寒の工夫(2)」、長着の上の装い、
 コートなどのアウターの工夫についてご案内いたします。


 みなさんからご意見、ご感想をいただければ幸いに存じます。 


                   きもの村 村長 長根 英樹

――――――――――――――――――――――――――――――――
  メールマガジン 【男のきもの】製品・価格・着こなし紹介

  発行責任者 きもの村 村長 長根 英樹 HIDEKI NAGANE   

          webmaster@kimono.gr.jp       
          http:// www.kimono.gr.jp/  

  バックナンバー http:// www.kimono.gr.jp/ home/ salon.html

  まぐまぐID:0000021262

  掲載記事の転載を禁じます。
  Copyright (C) H.Nagane. All rights reserved.
――――――――――――――――――――――――――――――――

================================
 このメールマガジンは、インターネットの本屋さん『まぐまぐ』を
 利用して発行しています。

 登録・解除は、『まぐまぐ』(http:// www.mag2.com/)ページ
 ID:0000021262 にて。

 あるいは、きもの村 - メールマガジンページにてお願いいたします。
 (http:// www.kimono.gr.jp/ home/ magazine.html
================================

  
  
〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓 ここまで 〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓

 この号の配信実数は302通(メールアカウント)でした。

 
元の発言を表示返事を書く


最初 |  前のメッセージ |  次のメッセージ |  最後
  タイトル一覧  | 最新10メッセージ


Copyright きもの村         E-mail:webmaster@kimono.gr.jp 
  :1999年10月 1日   更 :2002年10月 1日


WebNote Clip ライセンス取得/設置 長根英樹