「男のきもの・織のきもの−大人の男のきもの談義

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No.51 長根英樹   2002.05.28 18:06 
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メールマガジン - No.0023 -2002.05.28 号
 1 「美しいキモノ - 夏号」にてコーディネイト紹介
 

≪≪目次≫≫

 1 「美しいキモノ - 夏号」にてコーディネイト紹介
 2 その他

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 1 「美しいキモノ - 夏号」にてコーディネイト紹介

 先日発売の雑誌「美しいキモノ−夏号」(アシェット婦人画報社刊)
 では、「夏の男もの〜素材と趣を着る」のテーマで男の夏きものの
 特集が組まれています。

 今回の特集は、日本ならではの多彩な夏素材(織物)に着目をして、
 ことさら色や柄、変わりアイテム/小物などで奇をてらうことなく、
 “抑制の中の美/贅”といった形で、素材本来の持ち味を活かして
 その高度な使い分けを楽しむという正統派の「きものダンディズム」
 紹介になっているものと思います。

 私も、2月に編集者の米沢訪問を受け、その後打ち合わせや提案等
 編集協力を進めてきて、変わり紗羽織、絽角帯の他、竪絽野袴、紋
 絽馬乗り袴のトータルコーディネイトを提案しているところです。
 (P293, P294, P296, P299)

 男のきもの、特に夏場の装いに関しては、ゆかた以外にまとまった
 形で紹介される場面が少ない状況にありますので、是非この機会に
 誌面をお手にとってご覧いただきたく、ご案内いたします。

               ◇

 ご参考に、今回誌面でご紹介した製品/コーディネイトについて、
 以下にご案内をいたします。

 ■ 紋絽袴コーディネイト(P299 右)
  ・羽織/長着 「三本駒絽」 :米沢 鈴源織物
  ・袴     「紋絽袴」  :米沢 鈴源織物

   極細の糸に強い撚(より)をかけた駒撚糸(こまよりいと)を
   用いて緻密に織り上げた駒絽(こまろ)の羽織と長着、色違い
   での組み合わせ。
   ベースとなる平織り部分に3本の(3回)緯糸(よこいと)を
   通し、その後経糸(たていと)を捩り(もじり:糸を2本対で
   交差させることにより透け目をつくる手法)絽目を通すことを
   繰り返した三本絽(さんぼんろ)。

   強撚の駒撚糸を密度高く織り上げていることで、女性のフォー
   マル素材として用いられる平絽(ひらろ)などと違い、薄く透
   ける盛夏の素材ながらしっかりとした張りと着心地が味わえる
   地風が特徴の、男きもの(男織物)とでも表現したくなる趣と
   なっています。

   青系統の羽織と長着にあわせた落ち着いた鼠色の袴は、非常に
   凝った織り技が際立つ訪問袴で、ベースとなる地織(じおり)
   部分が平織りではなく梨地の紋織りとなっています。
   加えて、1回捩って1本(1回)緯糸を通し、更に続けて捩る
   ことで2本揃いの絽目を通した変わり紋絽(もんろ)となって
   います。

   絽の縞袴をあわせた格式高いフォーマルスタイルとは別の価値
   観で、素材&技の贅を愉しむ男の訪問着としてのフルコーディ
   ネイトとなります。
   

 ■ 竪絽袴コーディネイト(P299 左)
  ・羽織    「駒紗 葵」 :米沢 鈴源織物
  ・長着    「座繰り粋紗」:米沢 鈴源織物
  ・角帯    「絽角帯」  :米沢 鈴源織物
  ・袴     「竪絽袴」  :米沢 鈴源織物

   上記駒撚糸を用いて、絽と違い一段毎に捩りを繰り返し全体に
   透け味を表現した本紗織物、駒紗(こましゃ)の鼠色羽織。

   長着は、中繭(なかまゆ:通常のきれいな繭)を機械引きでは
   なく、湯で煮て柔らかくなったところを手で繰り引いた座繰り
   糸(ざぐりいと)を用いて織り上げた粋紗(すいしゃ)織物。
   機械引きと違って、手技で自然に引かれた座繰り糸は、過度な
   張力がかかることなく糸に余力の感じられるニュアンスがあり、
   また所々に自然な糸の繋ぎ目による微妙な節(玉糸による紬の
   節とは違い、かなり控えめです)が見られ趣を醸し出します。

   粋紗は、糸に強い撚をかけて(粗めに)織り上げ、仕上げ段階
   (整理工程)にて湯に通し撚を戻すことによって自然の隙間を
   表現する夏織物です。
   夏御召、夏結城、夏大島、明石縮など、捩りを用いない夏織物
   の代表的な織り技法となります。

   誌面では、濃い色無地に見える長着ですが、黒地に白の微塵縞
   (みじんじま)を通したもので、襦袢の透け具合とともに涼感
   が際立つ夏の黒きものです。

   モノトーンの羽織と長着にあわせた袴は、夏の空海をイメージ
   させるブルーと大胆に縦方向に通した絽目が凛とした爽やかさ
   で全体のコーディネイトにアクセントをつけます。
   撚糸を密度高く織り上げることで、涼感溢れる透け味を表現し
   ながらも張りとコシをもった地風が生まれています。
   襞(ひだ)の折り込みはたっぷりと取りつつ、裾をスリムにし
   ズボン調に仕上げた野袴(のばかま)のオリジナルデザインは、
   現代の生活空間やリズムにあった袴形(はかまなり)の流儀と
   美を演出します。


 ■ 変わり紗羽織(P293)
  ・羽織    「夏物語」  :米沢 鈴源織物

   誌面では色の判別が難しいかもしれませんが、濃緑をベースに
   芥子色(からしいろ)と牡丹色(ぼたんいろ)の色糸を用いて
   “夏の玉虫”を表現した趣豊かな夏羽織です。

   高度な捩り織りによって、複雑な透き間を立体的な形で表した
   変わり紗織物、だんご紗。

   端正で落ち着いた表情の上記本紗(駒紗)とは別の趣を持ち、
   凝った洒落味が感じられます。
   あらたまり過ぎないで、替え上着ならぬ替え羽織といった感覚
   で夏の羽織姿を愉しむ着道楽な通人にお薦めの逸品です。


 ■ 絽角帯(P294 右, P296 右)
  ・角帯    「絽角帯」  :米沢 鈴源織物

   大胆な絽目が通った、単衣/盛夏時季の角帯ですが、しっかり
   とした織り味が特徴で、締め心地に頼りなさはありません。
   質実さが魅力の夏角帯です。

               ◇

 【参考】
  ■ 美しいキモノ:アシェット婦人画報社
http:// www.hfm.co.jp/ magazines/ utsukushiikimono/ new.htm

  ■ 米沢 鈴源織物 有限会社
http:// www.omn.ne.jp/ ~suzugen/ men/ 02a.html


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 2 その他

 こちら米沢は、山に様々な緑が自然のグラデーションをおりなして
 目を和ませるおだやかな季節となりました。
 暑くもなく、寒くもなく、とても気持ちの良いこの時季。
 何かふつふつと新たな意欲もわき上がってきます。
 この一年、どの様につばさを広げていけるか、可能性に期待がふく
 らむ今日この頃です。

               ◇

 さて、ここでウィルスメールについてご案内。
 このところ、自分のパソコンデータの中から自動的に他人のメール
 アドレスを抽出して、発信元を偽装した形でウィルスメールを送信
 する「W32/Klez:通称クレズ」というコンピュータウィルスが
 猛威をふるっている様子です。

 詳しくは、以下の専門組織のサイトに情報がありますが、
 ■ 情報処理振興事業協会 セキュリティセンター(IPA/ISEC)
http:// www.ipa.go.jp/ security/ topics/ newvirus/ klez.html

 ・メールを開いたりプレビューするだけでも感染する可能性がある。
 ・送信アドレスには、ウィルスの感染により自動的にメール送信が
  おこなわれたマシンユーザのアドレスが入ることはほとんどなく、
  他者のアドレスが偽装されるため実際の送信者の特定が難しい。
 ・携帯電話、Macintoshがウィルス感染することはない。
 上記の様な特徴があるとのこと。

 実際に、私のところにも、私のメールアドレスを発信元に偽装した
 メールが届いたり、またそうしたメールを受け取った方から連絡を
 いただいたことがありました。(nagane@kimono.gr.jp です。)

 私はMacのパソコンを使っておりまして、このウィルスへの感染
 可能性はありませんし、送信したこともありませんので、ウィルス
 による感染マシンからの自動抽出によって発信元(From 欄)が
 偽装されこうした発信がなされたものと思います。

 社会に疑心暗鬼を生む悪質陰湿な性格のウィルスですので、専門の
 サイト等で正確な情報を把握すること、また冷静に対処をしていく
 ことが重要になるものと思います。

               ◇

 ご紹介の「美しいキモノ」誌面をご覧になり、実際に産地米沢にて
 男の夏織物、織元の見学をご希望の方は、どうぞメールにてご連絡
 ください。
 スケジュールを調整の上ご案内をさせていただきたいと思います。

 今後ともよろしくお願い申し上げます。


 みなさんからご意見、ご感想をいただければ幸いに存じます。


                   きもの村 村長 長根 英樹

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  発行責任者 きもの村 村長 長根 英樹 NAGANE HIDEKI   

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  :1999年10月 1日   更 :2002年10月 1日


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