「男のきもの・織のきもの−大人の男のきもの談義

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No.42 長根英樹   2001.01.20 14:55 
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メールマガジン - No.0016 -2001.01.20 号
 1 新たな世紀、時代に向けて 〜 きもの心
 

 ◆◇ 御召 ◆ 紬 ◇ 着尺 ◆ 羽織 ◇ 袴 ◆ 帯 ◇◆
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       【男のきもの】製品・価格・着こなし紹介

        2001.01.20 No.0016  配信数:0345  
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 ◆ ◇ ◆ きもの村 http:// www.kimono.gr.jp/ ◆ ◇ ◆


≪≪目次≫≫

 1 新たな世紀、時代に向けて 〜 きもの心
 2 その他

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 1 新たな世紀、時代に向けて 〜 きもの心

 昨年1年間のご愛読、ありがとうございます。
 本年もよろしくお願い申し上げます。

 年も明け、いよいよ21世紀。新たな世紀、千年紀の始まりです。
 本来ならば、前の時代に錆び付いて動きが悪くなった部分があれば、
 これをきれいに直してから気持ち良く新たな時代を迎えるのが理想
 でしょうが、現状では積み残してきた課題も多い様に思います。

 もやもやとした閉塞感、明日の方向性の見えないもどかしさ、焦り。
 これはきものの世界だけではなく、日本社会の中に広く漂っている
 時代の気分、状況と思います。

 しばらくは混沌や試行錯誤が続くものと思いますが、しかしながら
 ここで、未来への希望をトランプのジョーカーの様な“エクストラ”
 なものに求めるのではなく、「温故知新」―自らの内部に根ざした
 もの、先人の知恵が蓄積された伝統の中にある価値を虚心に見つめ
 直し、ここから見出していくことが大事になると考えます。

               ◇

 きもの心、和の心。
 1年を24もの季節に敏感に感じ分ける繊細な感性。これは、自然
 への慈しみ、感謝につながり、弱いものへの優しいまなざしにつな
 がります。
 米沢、置賜(山形県南)地域には、「草木塔(そうもくとう)」と
 いって、自然の木や草花を供養する搭が数多く残されています。

 また人智をはるかに越えた自然の営みへの畏敬は、人間より大きな
 ものの存在を確信させ、時に高い理想へ一身をゆだねる高度な公私
 関係の基礎になったものと思われます。

 「襟を正す」「折り目正しく」などの言葉がありますが、男の公的
 装いである袴姿は凛と気持ちを引き締め、装う側にある種の覚悟を
 求めます。
 
 「仁」という愛徳を以て治め、「忠」の義により理想に身を委ねる
 武士道精神は、紋付き袴スタイルであればこそ心に宿ったエスプリ
 であったと考えます。

 かつてそう遠くない昔に「日本は礼儀正しい国だ」との評価を得て
 いた時代があり、当時は明らかに先進諸外国よりも低い生活水準で
 あったり、オリンピックでの獲得メダルが今よりもっと少ない状況
 であっても、日本や日本に住まうことに対して誇りを持ち、堂々と
 背筋を伸ばして相対峙出来る風土が感じられましたが、これも上記
 の様な武士道、和の心の精神基盤があってこそであったと考えます。

               ◇

 今の洋装(スーツスタイル)で四季以上の多様な季節感に対応する
 装いがどこまで可能か。
 もしきものであるならばどうか。

 また、折に紋付きを着て身(アイデンティティ)、覚悟を明らかに
 する装いの意義は。
 果たして紋付き精神の装いであれば、真夏の屋外で放置された牛乳
 を再度用いて顧客の口に届けるなどという堕落があり得たかどうか。

 こういったところから、きもの心、和の心の奥深さについて、また
 単に形だけではないきものの魅力について、みなさんと一緒に考え、
 探って行くことが出来ればと考えているところです。


 現在のゆかたブームに見られる様に、きもの風というか、きもの型
 の服を大量ミシン生産しシーズントレンドで廉価に提供する方法は
 さほど難しくなく、従来のきもの業界とは別にアパレル主導で進む
 ことも考えられます。

 しかし、きものを“単なる打ち合わせスタイルの衣服”以上のもの
 と捉えて、その心の部分を提案、共に探っていく方向を見据えるの
 ならば、各地域における呉服店の役割は将来的に非常に大きくなり
 広がって行くものと考えます。


 私、微力ながら、そうした想いをもつメーカー、流通、ユーザーの
 みなさんとの間で連携、交流を深めつつ、きもの心を再発見し現代
 に再構築する動きをナビゲートしていきたいと考えております。

 本年もよろしくお願い申し上げます。

               ◇

 【参考】
 草木塔ページ
  http:// www.ne.jp/ asahi/ yamagata/ info/ yamadera/ fuga-somoku.htm


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 2 その他
 
 米沢はもともと雪の多い地域ですが、やはり今年は特別です。
 一部では60年ぶりとの声を聞くほどの大雪で、近年のおとなしい
 雪量に慣れた市内ではてんやわんやの状況もあり、あらためて自然
 の大きさを実感させられます。

 実は昨年秋の段階で、芋煮会等で集う郊外施設において大量のカメ
 ムシの歓迎にあい、「カメムシ大量発生の冬は大雪」との伝承情報
 を得ていました。

 米沢はいつの冬でも大雪だから… と高をくくっていた訳ですが、
 この現状を見てあらためて伝承情報の意義、奥深さに触れた思いを
 しました。

 きもの心 の魅力、奥深さとも共通する部分の様に思います。

 今後ともよろしくお願い申し上げます。


 みなさんからご意見、ご感想をいただければ幸いに存じます。 


                   きもの村 村長 長根 英樹

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  :1999年10月 1日   更 :2002年10月 1日


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