「男のきもの・織のきもの−大人の男のきもの談義

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No.58 長根英樹   2004.11.21 19:07 
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メールマガジン - No.0030 -2004.11.21 号
 1 袴形(はかまなり)でエスコート
 

  
 ◆ ◇ ◆ 【男のきもの】 ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆
 ――――――――――――――――――― スロークロージング ―

            きものダンディズム

 ――――――――― 2004.11.21 No.0030  配信数:0283 ―
 ◆ ◇ ◆ きもの村  http:// www.kimono.gr.jp/ ◆ ◇ ◆


≪≪目次≫≫

 1 袴形(はかまなり)でエスコート
 2 その他

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 1 袴形(はかまなり)でエスコート

 これからの時季、各種パーティや年末年始の行事・会合など何かと
 集まり事やイベントの多いスケジュールとなります。
 会合の主旨もソーシャルなものからごく内輪のプライベートなもの
 まで様々あるものと思いますが、社会性を意識する会合や外出等の
 場合には、オフ感覚のリラックスした“着流し”スタイルではなく、
 ピシッと下半身を整えた“袴形”(はかまなり)のスタイルで臨み
 たいものです。

               ◇

 男の和装スタイルにおいては、袴の有無によって装いの意味合いが
 決定的に違ってきます。
 それは羽織の有無による違いより深い意味合いを持ち、装いの社会
 性という意味では根本的な差違になるものと考えます。

 そもそも七五三における男児五歳のお祝いは、初めて袴を着用する
 「袴着(はかまぎ)」「着袴(ちゃっこ)の儀」に由来するもので、
 子供なりに一定の役割と責任を担う形で社会の一員としての参画が
 認められることを自覚し祝うという通過儀礼の意味合いがあったも
 のと思います。
 こうした社会性認識を象徴するものとして袴の着用が位置付けられ
 儀式にまでなっていたところに、衣服・装いと精神性の関連深さを
 再確認することが出来ると思いますし、袴スタイルの本義(着流し
 との対比)を見い出すことが出来るものと思います。

               ◇

 学生、青年の“書生スタイル”、すなわち「長着+袴」の装いは、
 羽織(上着)を用いないスタイルではありますが、青いなりに基礎
 的なわきまえを踏まえた社会的な装いになると思います。
 実際、その着姿は袴の腰部分が強調され凛々しい印象で捉えられて
 いたものと思います。
 洋装においても、開襟シャツにスラックスという装いは、ノータイ
 &ノージャケットのスタイルでありながら、夏期においては通勤・
 通学着としても着用されており、オンビジネスの装いになるものと
 思います。

 こうした“書生スタイル”や“開襟シャツにスラックスのスタイル”
 と“着流しスタイル”を、社会的な装いという観点から比較するに
 あたっては、“下半身の完成度、完結性”に着目をしてみると双方
 の違いが浮き彫りになってくるものと思います。

 袴は礼装、フォーマル専用のアイテムではなく、色柄種類において
 も日常用途の木綿袴、ウール袴、無地袴などがあります。
 下半身を整え社会的な装いとしてのけじめを付けるアイテム。
 袴をこの様な形で捉えると、「着流し」=「略装」(広辞苑)とい
 う解説の意味合いが理解出来るものと思います。
 「着流し」の対義語は、「(紋付き)羽織袴」ではなく「袴形」
 (はかまなり)になるものと思います。

               ◇

 「略礼装」ではなく、あくまで「略装」となる着流しスタイル。
 袴を洋装のアイテムに例えるのは難しいところですが、下半身の完
 結性に劣る装いという意味では、(ジャージやスウェットパンツと
 までは言わないものの)“イージーパンツ”や“ノープリーツパン
 ツ”をイメージすると近いものがあるのではないかと思います。
 “イージーパンツ”や“ノープリーツパンツ”にジャケットを合わ
 せたからといって社会的な装いにならないのと同様、袴を着けない
 ままで羽織を重ねたからといって社会的な装いにはなりません。

 クルージングのドレスコードにおいても、洋装のスーツ相当の装い
 として着流しではなく、袴の着用(この場合は羽織もあわせて)を
 指定している例があります。
 他に、ホテルのバーラウンジでのデートなど、洋装のスーツ相当の
 つもりで「長着+羽織」の着流しスタイルで足を踏み入れるなら、
 ドレスコードによる入店お断りとならないまでも、場のソーシャル
 な雰囲気を乱すことになるものと思います。

 休日の温泉旅行など、さほど対外的な意識をせずにリラックスした
 場面では、着流しスタイルで蕎麦屋に入ったり、土産物屋をのぞい
 たり、足元の自由な感覚を楽しむ装いでよろしいかと思います。
 着流しスタイルがふさわしい場面、気持ちにぴったりとくる場面も
 多々あるものと思います。
 一方、同じ休日やオフタイムでも、レストランでのディナーやパー
 ティなど、対外的な関わりの中で自分たちを位置付けソーシャルな
 交流や雰囲気を楽しむ場面では、袴形のスタイルで装い、和のソー
 シャルウェアの持つ矜持、エレガンスを存分に味わっていただきた
 いものと思います。

               ◇

 こうした装いの意味合いは、和装知識、ハウツーの問題ということ
 ではなく、衣服・装いの持つメッセージ性を常に意識している「服
 装リテラシー」のセンスに優れた方であれば、予備知識がなくても
 直感的に装いの美しさ、場とのマッチング、違和感等といった形で
 感じられる面があるものと思います。

 「今の時代、きものを着ているだけでよそ行き」
 「袴と七五三の話しなんて知っている人は少ない」
 「着流しの人がほとんど」
 「羽織を着ればいいのでは」
 などと自己都合の解釈で装いを規定するのではなく、ものの持つ本
 来的な意味合いを素直に感じる姿勢を持つことで、服装による基本
 的な会話を成立させていくことが可能になるものと考えます。
 またそうした姿勢により、会話の面白さ、装い・コーディネイトの
 奥行きが深まっていくものと思います。

 是非これからの時季、袴形でのエスコートを計画、あるいはリクエ
 ストしてみてはいかがでしょうか。
 きっと新たな和装の魅力を実感、再認識するきっかけになることと
 存じます。
 
 
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 2 その他

 こちら米沢は、実り豊かな晩秋に自然の恵みを味わい楽しむ一方で、
 間近に迫った雪国の厳しい冬の訪れを感じつつ心の準備と冬支度を
 進める日々となっています。

 わが家では9月に新しい家族を迎え、親子4人のにぎやかな生活が
 始まりました。
 季節、自然の中の時の移り変わりを繊細に感じ、時季に応じた節句、
 行事風習、衣食住等を実践する伝統的な和の暮らしや和の価値観・
 美意識を大切にするとともに、そうした季節、自然に親しむ生活を
 楽しむことの出来る様に― との想いを込め、「季」の字を用いて
 名付けを行いました。
 久しぶりに赤ちゃんのいる生活を送り、あらためて子を持つ幸せを
 実感するとともに、天からの授かりものと縁に感謝をしているとこ
 ろです。

 今年もきものを通じて様々な縁に恵まれ、それぞれに思い出深い交
 流を持つことが出来ました。
 きものへの想い、和の心への想いを同じくする皆さんと、更に共感
 を伝播し合い広げていきたいものと思います。

 今後ともよろしくお願い申し上げます。


 みなさんからご意見、ご感想をいただければ幸いに存じます。


                   きもの村 村長 長根 英樹

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