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きものダンディズム
2002.02.27 No.0022 配信数:0344
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≪≪目次≫≫
1 カルザイ議長スタイルの反響ときものダンディズム
2 その他
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1 カルザイ議長スタイルの反響ときものダンディズム
今ファッション界ではアフガニスタン暫定行政機構カルザイ議長の
スタイルに注目が集まっている状況です。
・「ヴォーグ」誌:「もっともエレガントな男性」の1位に選出。
・英国「BBC」放送:「カルザイ首相は古典(クラシック)と
民族的なもの(エスニック)を結合させる才能がある」と論評。
・「グッチ」:カルザイテイストの新たなモードを開発中とか。
自国の文化に誇りを持ちつつ、伝統的なスタイルを時代に合わせた
インターナショナルな感性で着こなすカルザイ氏の装いは、世界に
対してアフガンの文化性を発信すると共に、自国民に対してもアイ
デンティティの再確認と国家への誇りをもたらそうとする政治的な
メッセージであったと考えます。
カルザイ氏は米国在住経験などもありますので、当然のことスーツ
スタイルの基礎は持っていて、議長就任以前はスーツ&ネクタイの
コーディネイトも見られました。
議長就任後は状況や立場を踏まえて、あえて伝統の継承を意識した
“和+洋折衷”ならぬ“アフガン+洋折衷”のスタイルを選択して
いるものと思います。
西洋スーツスタイルの意味合いを完璧に踏まえた上で、時と場所、
状況に応じて自国の伝統的なスタイルを現代に昇華させた形で装う
という良い意味でのフレキシビリティ、深みのある装い術を見て、
ファッション界のデザイナー、ジャーナリスト達はメンズスタイル
の新たなフィールド(可能性)を見出した気持ちでいるものと思い
ます。
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衣服、装いの持つ文化的意味合いや政治的メッセージ性の強さは、
今回の事例に限らず歴史を遡って見出すことが出来、自国の伝統を
時代に応じ昇華させつつインターナショナルな形で装うスタイルは、
日本においても、明治初期、紋付き羽織袴にブーツスタイルの特命
全権大使岩倉具視に率いられ西洋を巡った「岩倉使節団」において
確認することが出来ます。
http:// www.iwakura-mission.gr.jp/
岩倉具視、大久保利通、伊藤博文他、そうそうたるメンバーによる
岩倉使節団は、その立ち居振る舞いやマナーの優雅さ、品格から、
各地で大歓迎されると共に深い尊敬を受けたと聞きます。
国独自の価値観をもちつつ、それを普遍的な価値観として発展昇華
させていける様に国際的な提案、訴求を行っていくこと。
こうした中に誇りは生まれ、新たな国際的な枠組みが生まれていく
ものと思います。
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「衣」「食」「住」の一番最初にあげられる「衣服」。
衣服装いは、それぞれの人々や地域、国の文化、すなわち価値観や
美意識、心の在り様と密接に関わり、相互に影響を及ぼし合う関係
にあります。
そして、日本の伝統的な価値観形成の土台となり、同時に和の心を
表現してきた装いは、まさに和の服“きもの”に他なりません。
「襟を正す」「折り目正しく」「板に付く」等の言葉にも、きもの
から育まれた感性、文化が残っています。
その意味から、西洋スーツスタイルを本国のダンディ達よりも深く
理解し体得実践されている日本のダンディのみなさんに、是非とも
「きものダンディズム」についても体感をしてもらいたい、そして
そのプロデュースをさせていただければと思っております。
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これから夏にかけて、西洋のスーツ素材とは別にきものでは非常に
多様な素材(織り表現)が出てきます。
きものを素材の面から見た場合、夏こそ西洋スタイルと違った日本
ならではの独自性、きものの醍醐味が感じられるものと思います。
例えば、西洋スタイルでは、男性がシースルー(透け素材)を着用
するという感性はほとんどないものと思います。
西洋ダンディズムからすれば、シースルーは女性的であり、男性に
似つかわしくない(浮ついた)印象があるものと思います。
しかしながらきものにおいて、薄色のきものの上に黒などの透ける
羽織を重ねてモアレ模様の透け感を楽しむ中には、大人の落ち着き
感や男の色気が感じられます。
また、暑い中、透ける袴姿からは、爽やかな涼感と凛とした気概が
感じられます。
この様に、きものスタイルでは、シースルーを浮ついた形ではなく、
男性的な形で着こなす独自のダンディズムがあります。
http:// www.omn.ne.jp/ ~suzugen/ men/ 02a153-aoi.html
http:// www.omn.ne.jp/ ~suzugen/ men/ 02e9707.html
日本の風土から育まれた感性や美意識による全く独自の価値観を、
インターナショナルな形で提示し得るだけの蓄積を現に“きもの”
は有しており、我々は先人から「きものダンディズム」を受け継ぎ
現代に昇華させていく「使命」と共に「贅沢」を授かっているので
はないかと考えるところです。
みなさんとご一緒に「きものダンディズム」の真髄を探り、様々な
実践や提案を進めていければ幸いに存じます。
どうぞよろしくお願いいたします。
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2 その他
こちら米沢は、昨年12月の大雪とは対照的に暖かい冬を過ごして
います。
雪も少なく随分と日々の動きが容易で、適度に冬をエンジョイする
ことが出来ました。
(雪国に慣れてしまうと、あまり雪のない冬は却って落ち着かない
気分になってしまうものです。)
米沢の春は一斉に花が開き、長い冬に縮こまっていたものが一気に
解き放たれる躍動感に満ちた季節となります。
みなさんがスーツスタイルを極めてきた過程は、より多くの上質な
ものを直接目にしてきた積み重ねであったものと思います。
きものにおいても、総合メーカーのラインナップをトータルで見る
ことから各自のスタイルの確立が始まるものと考えます。
是非この春、米沢に「きものダンディズム」のエッセンスを訪ねて
お立ち寄りいただきたく、ご案内をいたします。
今後ともよろしくお願い申し上げます。
みなさんからご意見、ご感想をいただければ幸いに存じます。
きもの村 村長 長根 英樹
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