「男のきもの・織のきもの−大人の男のきもの談義

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No.59 長根英樹   2005.06.30 12:51 
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メールマガジン - No.0031 -2005.06.30 号
 1 クール、イージー、ルーズ
 

  
 ◆ ◇ ◆ 【男のきもの】 ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆
 ――――――――――――――――――― スロークロージング ―

            きものダンディズム

 ――――――――― 2005.06.30 No.0031  配信数:0257 ―
 ◆ ◇ ◆ きもの村  http:// www.kimono.gr.jp/ ◆ ◇ ◆


≪≪目次≫≫

 1 クール、イージー、ルーズ
 2 その他

〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓

 1 クール、イージー、ルーズ

 今年は「クールビズ」の新名称で夏の軽装運動が展開されています。
 小泉首相が先導しての内閣を上げた取り組みで、各メディアでの紹
 介も盛んで小売店での商品展開も広がっている様子です。

 「クールビズ」スタイルの本質は、6月1日の導入初日における小
 泉首相の第一声に象徴的に表れている様に感じます。
 それは、「楽だね」というものでした。

 装いにおいては、寒暖、気温に応じた過ごしやすい服装、無理のな
 い服装が基本になるものと思います。
 室内にいる人がカーディガンを羽織りたくなるほどに冷房を強める
 ことでスーツ(&ネクタイ)スタイルが成り立っているとするなら
 ば、もっと日本の気候、日本の自然に適した装いを追求することは、
 環境面からだけでなく、文化面からも重要な取り組みになると思い
 ます。

 しかしながら、気温に応じた服装という他にも、社会的な要素、す
 なわち場面に応じて礼の心やわきまえを表現するという面も、装い
 においては非常に重要な意味を持ち、大切な基本になるものと思い
 ます。
 オンビジネスの装い、一国の首相の政治の場における装いが、果た
 して「楽(らく)」なものでいいものでしょうか。
 こうした装いのモード、どこか気の抜けた心持ちが根底にあって、
 国会本会議における議員バッジの着け忘れなどのわきまえに欠ける
 行動が表面化しているものと思います。

               ◇

 また、装いの基本としては、正しい着装という面も不可欠のものに
 なると考えます。
 留めるべきボタンはきちんと留める。折るべきものはきちんと折る。
 上げるべきものはきちんと上げる(ズボンを尻に下げてはくような
 まねはしない)。などなど。

 かつての夏服としての開襟シャツやアロハシャツ、沖縄のかりゆし
 ウェアは、最初から襟が開いた形でデザインされた衣服であり、前
 ボタン(飾りボタンを除く)を全て留めた形で着装することで、隙
 のないきちんとした印象を与える装いになります。
 一方、「クールビズ」で推奨しているボタンダウンシャツやスナッ
 プダウンシャツ、襟腰に2つボタンのついたシャツ等は、襟の上ボ
 タンを留めることを前提にデザイン、サイズの設定がされた衣服で
 あり、このボタンを外して装うことと開襟デザインのシャツを正し
 い着装で装うこととは、全く装いの意味合いが違ってきます。

 また、アロハやかりゆし、フィリピンの夏礼装「バロンタガログ」
 などは、それ自体が表着(おもてぎ:アウター)としてデザインさ
 れており、上着(ジャケット)との組み合わせを前提としない衣服
 です。
 裾もズボンの外に出して装い、そもそもの発想がシャツ(インナー)
 ではなく、いわば「シャツジャケット」という位置づけの表着であ
 り、礼装にも用いられています。
 表着としての単体での着用が前提とされていないインナーのシャツ
 を、襟細部のデザイン差違で区別してビジネスウェアとして用いる
 ことに無理があると思います。

 こうした装いの基本に関する無知(あるいは意図的な逸脱?)を見
 ると、あらためて「服装リテラシー」や「衣育」、すなわち衣服に
 よるメッセージを読み解き、場に応じた社会的な装い=メッセージ
 発信を行う能力とそれを養う教育の重要性と「衣服改革」の必要性
 を実感するところです。

               ◇

 現在の「クールビズ」は、「イージービズ」「ルーズビズ」と言っ
 た方が相応しいスタイルで、そもそも「ビズ」:ビジネスウェアと
 して捉えることが出来るのか、根本的な疑問をはらむ装いであると
 考えます。
 将来振り返って見た際、時代を超えて尚通用する大人のスタイルと
 して認識されるものなのか。
 国際的に、日本の文化を表現する装いとして発信することの出来る
 吟味のされたスタイルと言えるものでしょうか。

 官房長官の毎日の記者会見風景、閣僚の来客応対風景等をテレビで
 見る度に、文化的なわびしさを感じるところです。
 (将来、「小泉クールビズ」=「装いの毒まんじゅう」との見方が
  されるのではないかと思えます。)

 あらためて、日本の風土、自然、気候に合った、涼しく、尚かつ凛
 とした日本の美意識、ハレとケ、公私のめりはりのはっきりとした
 社会性認識を表現する現代夏涼装を創造することが必要と考えます。

 日本には、日本の価値観や美意識を表現し、また日本の価値観や美
 意識を育んできた和の服=きものの蓄積があります。
 今あらためて、和の服=きものの蓄積を温故知新で見つめ直す「ス
 ロークロージング」の発想が重要になってくるものと思います。

 きもの村では、和のエコスタイル、新たな夏涼装(ソーシャルウェ
 ア、ビジネスウェア)として、涼しさと共に礼の心、社会性(凛と
 した佇まい)を兼ね備えた、きもの衿スタイルの装いを提案してい
 るところです。
 着用用途、着方に応じてスタイルをご提案いたしますので、ご相談
 いただければと思います。

 新夏涼装の創造における和の衣服装いの蓄積に関する見つめ直しが
 きっかけとなり、季節や場面を問わずに和装、和の心の素晴らしさ
 を再評価し、現代に活かしていく動きが広まっていくことになれば
 素晴らしいと思います。
 また、そうした展開をナビゲートしていく役割を果たしていきたい
 と考えているところです。

 想いを同じくするみなさんとご一緒できれば幸いに存じます。

               ◇

 【参考】
  ■ メールマガジン - No.0027号
    究極のエコスタイル(新夏涼装) 〜 和装の蓄積を見つめ直し
http:// www.kimono.gr.jp/ mens/ salon/ 55_index_msg.html

  ■ メールマガジン - No.0026号
    服装リテラシー 〜 装いによるメッセージ
http:// www.kimono.gr.jp/ mens/ salon/ 54_index_msg.html

  ■ メールマガジン - No.0029号
    衣服改革 〜 正しい着装と和装の見つめ直し&現代への昇華
http:// www.kimono.gr.jp/ mens/ salon/ 57_index_msg.html
 
 
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 2 その他

 こちら米沢は、例年になく晴れ間の多い梅雨時季となっています。
 気持ちの良い天候で、小学1年の娘もプール授業を楽しんできてい
 る様子です。
 今後本格的に出てくる、地物のとうもろこしや枝豆を味わうのを今
 から楽しみにしているところです。

 今は少子化の時代ですが、きもの仲間からおめでたい話しを聞く機
 会があり、そうした際きものを通じた親子の繋がり、世代の繋がり、
 周り(地域)との繋がりを実感し、あらためて心なごむ思いをして
 いるところです。

 天の恵み、天からの授かりものを有り難く受けとめ、天の道、自然
 に沿った生活を送る中で幸せを感じる心、和の生活文化の大切さを
 身にしみて感じます。

 今後ともよろしくお願い申し上げます。


 みなさんからご意見、ご感想をいただければ幸いに存じます。


                   きもの村 村長 長根 英樹

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 メールマガジン
  【男のきもの】きものダンディズム 〜 スロークロージング
  【男のきもの】製品・価格・着こなし紹介(旧題)

  発行責任者 きもの村 村長 長根 英樹 NAGANE HIDEKI   

          webmaster@kimono.gr.jp       
          http:// www.kimono.gr.jp/  

  バックナンバー http:// www.kimono.gr.jp/ home/ salon.html

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※ 上記は修正版で、誤字、分かりにくい表現等を一部修正しています。
  実際に発信したオリジナル版は以下の通りです。


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<オリジナル版>
 
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 1 クール、イージー、ルーズ
 2 その他

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 1 クール、イージー、ルーズ

 今年は「クールビズ」の新名称で夏の軽装運動が展開されています。
 小泉首相が先導しての内閣を上げた取り組みで、各メディアでの紹
 介も盛んで小売店での商品展開も広がっている様子です。

 「クールビズ」スタイルの本質は、6月1日の導入初日における小
 泉首相の第一声に象徴的に表れている様に感じます。
 それは、「楽だね」というものでした。

 装いにおいては、寒暖、気温に応じた過ごしやすい服装、無理のな
 い服装が基本になるものと思います。
 室内にいる人がカーディガンを羽織りたくなるほどに冷房を強める
 ことでスーツ(&ネクタイ)スタイルが成り立っているとするなら
 ば、もっと日本の気候、日本の自然に適した装いを追及することは、
 環境面からだけでなく、文化面からも重要な取り組みになると思い
 ます。

 しかしながら、気温に応じた服装という他にも、社会的な要素、す
 なわち場面に応じて礼の心やわきまえを表現するという面も、装い
 においては非常に重要な意味を持ち、大切な基本になるものと思い
 ます。
 オンビジネスの装い、一国の首相の政治の場における装いが、果た
 して「楽(らく)」なものでいいものでしょうか。
 こうした装いのモード、どこか気の抜けた心持ちが根底にあって、
 国会本会議における議員バッジの着け忘れなどのわきまえに欠ける
 行動が表面化しているものと思います。

               ◇

 また、装いの基本としては、正しい着装という面も不可欠のものに
 なると考えます。
 留めるべきボタンはきちんと留める。折るべきものはきちんと折る。
 上げるべきものはきちんと上げる(ズボンを尻に下げてはくような
 まねはしない)。などなど。

 かつての夏服としての開襟シャツやアロハシャツ、沖縄のかりゆし
 ウェアは、最初から襟が開いた形でデザインされた衣服であり、前
 ボタン(飾りボタンを除く)を全て留めた形で着装することで、隙
 のないきちんとした印象を与える装いになります。
 「クールビズ」で推奨しているボタンダウンシャツやスナップダウ
 ンシャツ、襟腰に2つボタンのついたシャツ等も、襟の上ボタンを
 留めることを前提にデザイン、サイズの設定がされた衣服であり、
 このボタンを外して装うことと開襟デザインのシャツを正しい着装
 で装うこととは、全く装いの意味合いが違ってきます。

 また、アロハやかりゆし、フィリピンの夏礼装「バロンタガログ」
 などは、それ自体が表着(おもてぎ:アウター)としてデザインさ
 れており、上着(ジャケット)との組み合わせを前提としない衣服
 です。
 裾もズボンの外に出して装い、そもそもの発想がシャツ(インナー)
 ではなく、いわば「シャツジャケット」という位置づけの表着であ
 り、礼装にも用いられています。
 表着としての単体での着用が前提とされていないインナーのシャツ
 を、襟細部のデザイン差違で区別してビジネスウェアとして用いる
 ことに無理があると思います。

 こうした装いの基本に関する無知(あるいは意図的な逸脱?)を見
 ると、あらためて「服装リテラシー」や「衣育」、すなわち衣服に
 よるメッセージを読み解き、場に応じた社会的な装い=メッセージ
 発信を行う能力とそれを養う教育の重要性と「衣服改革」の必要性
 を実感するところです。

               ◇

 現在の「クールビズ」は、「イージービズ」「ルーズビズ」と言っ
 た方が相応しいスタイルで、そもそも「ビズ」:ビジネスウェアと
 して捉えることが出来るのか、根本的な疑問をはらむ装いであると
 考えます。
 将来振り返って見た際、時代を超えて尚通用する大人のスタイルと
 して認識されるものなのか。
 国際的に、日本の文化を表現する装いとして発信することの出来る
 吟味のされたスタイルと言えるものでしょうか。

 官房長官の毎日の記者会見風景、閣僚の来客応対風景等をテレビで
 見る度に、文化的なわびしさを感じるところです。
 (将来、「小泉クールビズ」=「装いの毒まんじゅう」との見方が
  されるのではないかと思えます。)

 あらためて、日本の風土、自然、気候に合った、涼しく、尚かつ凛
 とした日本の美意識、ハレとケ、公私のめりはりのはっきりとした
 社会性認識を表現する現代夏涼装を創造することが必要と考えます。

 日本には、日本の価値観や美意識を表現し、また日本の価値観や美
 意識を育んできた和の服=きものの蓄積があります。
 今あらためて、和の服=きものの蓄積を温故知新で見つめ直す「ス
 ロークロージング」の発想が重要になってくるものと思います。

 きもの村では、和のエコスタイル、新たな夏涼装(ソーシャルウェ
 ア、ビジネスウェア)として、涼しさと共に礼の心、社会性(凛と
 した佇まい)を兼ね備えた、きもの衿スタイルの装いを提案してい
 るところです。
 着用用途、着方に応じてスタイルをご提案いたしますので、ご相談
 いただければと思います。

 新夏涼装の創造における和の衣服装いの蓄積に関する見つめ直しが
 きっかけとなり、季節や場面を問わずに和装、和の心の素晴らしさ
 を再評価し、現代に活かしていく動きが広まっていくことになれば
 素晴らしいと思います。
 また、そうした展開をナビゲートしていく役割を果たしていきたい
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    服装リテラシー 〜 装いによるメッセージ
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  ■ メールマガジン - No.0029号
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 こちら米沢は、例年になく晴れ間の多い梅雨時季となっています。
 気持ちの良い天候で、小学1年の娘もプール授業を楽しんできてい
 る様子です。
 今後本格的に出てくる、地物のとうもろこしや枝豆を味わうのを今
 から楽しみにしているところです。

 今は少子化の時代ですが、きもの仲間からおめでたい話しを聞く機
 会があり、そうした際きものを通じた親子の繋がり、世代の繋がり、
 周り(地域)との繋がりを実感し、あらためて心なごむ思いをして
 いるところです。

 天の恵み、天からの授かりものを有り難く受けとめ、天の道、自然
 に沿った生活を送る中で幸せを感じる心、和の生活文化の大切さを
 身にしみて感じます。

 今後ともよろしくお願い申し上げます。


 みなさんからご意見、ご感想をいただければ幸いに存じます。


                   きもの村  村長 長根 英樹

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  発行責任者 きもの村  村長 長根 英樹 NAGANE  HIDEKI   

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  :1999年10月 1日   更 :2002年10月 1日


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